女性会計士が出産・育児を経て監査法人で復職した場合、仕事と育児の両立のための制度は、建前としては様々に用意されています。例えば、時短勤務や残業なし、週3日-4日勤務といった働き方の選択肢があったり、子供の体調不良時の特別休暇が年に数日認められたり、保育園に落ちた場合に法人契約の保育園に優先的に入れる、などです。
「建前としては」と書いたのは、監査法人のWebサイトにそのような制度が記載されていたとしても、実際は各部署の運用に任されていたり、数年ごとに繰り返す大量リストラの際には反故になったりということが、ままあるからです。部署のトップから、うちの部署ではそのような制度は適用できないと言われたケースや、復帰後の女性が時短勤務制度を適用しない旨を上司に告げたら「よかった」とあからさまに安心された、などということも。ただ、傾向としては、女性活躍推進が図られるのと共に、そのような制度が利用しやすくなっているように思われます。
では、時短勤務や残業なし勤務、週4日以下の勤務といった勤務形態を適用した場合、どのように評価されるのでしょうか。ある意味当然かもしれませんが、評価に響き、昇進が難しくなるのが一般的でしょう。ライバルたちが長時間残業している中で、残業せずに、または通常よりも短い勤務時間で働く場合、同様の成果を上げることは非常に難しくなります。たとえ個人の努力により、短時間で効率的に高い成果を上げたとしても、「時短勤務等の制度を適用している」こと自体によって、評価を低くするバイアスがかかりがちです。
なお、私の知る限り、時短勤務制度を適用している女性会計士の多くが残業しています。身体は早い時間に子供をお迎えに行って家に帰るものの、家でリモートワークをこなしているケースが多数見受けられます。にも関わらず、「いつも早く帰っている人」という視線で見られ、よほど自己主張しない限り、見られていない部分の業務は気付かれないということも。
働き方改革によって全体的に残業時間は短くなり、成果で評価されるので時短制度を適用していても昇進には響きづらくなった、との声も聞きますが、それを真に受けるのも良いとは限りません。成果を出せばよいのだろうと残業チャージせずにリモートワークしたのに、残業チャージしなかったらどうやって評価するのだと逆に指摘されたとのケースも。成果が仕事ではなく残業時間で評価されている典型と思われます。残業をつけるなと上に言われてその通り残業を削ったら、あなたは残業時間が少ないからと昇進させてもらえなかった、というような理不尽な話も聞きます。もし上を目指すのであれば、ワークライフバランスはあきらめて、早々に時短制度の適用をやめ、バリバリと働く姿を見せるのが早道だと思われます。復職後に、いつ時短勤務から通常の勤務に戻すのだと何度も上に聞かれて、嫌になり辞めたというケースも聞きます。